神は沈黙せず

神は沈黙せず(上) (角川文庫)

神は沈黙せず(上) (角川文庫)

フリーライターの和久優歌は、幼い頃に両親を自然災害で失ったため、心に深い傷を負い、神を信じなくなっていた。
 2011年、終末予言を標榜するUFOカルト〈昴の子ら〉を潜入取材していた優歌は、空からボルトが降ってくるという超常現象に遭遇。それがきっかけで、神が存在するのではないかと思うようになる。同時に彼女はある重大な疑問にとらわれる――なぜ神はこの世界に悪や惨劇が跳梁することを許すのか?
 同じ頃、彼女の兄で人工知能研究者の和久良輔は、遺伝的アルゴリズムによる進化シミュレーションを研究するうち、ある仮説に到達していた。この世界は壮大な仮想現実――神によって創造されたシミュレーションだというのだ。
 おりしも日本を襲う経済破綻。世界的に急増する超常現象。そうした状勢を背景に、良輔の仮説を知った天才小説家・加古沢黎が、ある策謀をめぐらせはじめる。
 そしてついに、神はその存在を人類の前に示した……。

読み終わるまで知らなかったんですが、著者は「と学会」の会長さんとのこと。
どうりで恐るべき長いUFOやら怪奇現象やらの引用やうんちくがありました。最初は読んでいたが途中でこういう部分は読まなくてもいいんだと気づいてからだいぶ読むスピードが上がりました。
上下巻でぶっとい本なのですが、文章もうんちくをのぞけば易しいのでスラスラ読めます。
「超天才」の言動などには疑問点は残りますが、エンタテインメントとしては面白いのではないでしょうか。ただ、ディテールのほころびが見逃せない部分がある方は読まない方がいいかと思われます。