観念的生活
- 作者: 中島義道
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2007/11/29
- メディア: 単行本
- 購入: 1人 クリック: 14回
- この商品を含むブログ (21件) を見る
漱石が臨終の際に、無意識の口から洩れた言葉が「死んだら困る」
実は、因果律は〜ヒュームの言うように〜未来の予測にまったく役立たない。確かにこれまでは役立ってきたが、それは純粋な偶然であって、これからも役立つという保証はない。未来は完全に開かれているのだ。
ライプニッツの決定論は「オプティミスム」と呼ばれるが、それは次の一見両立しそうもない二つの原理から成り立っている。第一に、各人はそのつど「最善と思われること」を選択すべきであるが、所詮人間の能力は限られているので、その多くは「最善であること」ではない。だが第二に、その間違った選択も含めて、生起した世界は全体として最善であるはずだ。なぜなら、神はこうした個々の人間の選択をも含めて、そのつど最善の世界を選択しているからである。